この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

次亜塩素酸水との出会い

電気分解生成タイプの次亜塩素酸水

もう20年ぐらい前ですが、ある業者から次亜塩素酸水を紹介してもらいました。

塩酸を電気分解して生成する次亜塩素酸水で、現在の特定防除資材になっている次亜塩素酸水です。

率直に言うと…
あまりにもパワー不足でした。菌糸にアタックするも弱く胞子はまったく…
動噴で散布すると曝露時間が短いのでまったく菌を壊しきれません。濃度も低いし失活も早過ぎる…
(曝露時間とは、病原菌が薬液にさらされる時間のことです。)

曝露時間を長くするために超音波噴霧器で長時間噴霧!

さらに状況は酷くなりました。
ベト病まで誘発してしまい、これではとても使えません。

2液方式タイプの次亜塩素酸水

次に、電解方式の次亜塩素酸水よりも濃度を強くすることができる次亜塩素酸ナトリウムと希塩酸で作る2液方式の次亜塩素酸水に切り替えました。

濃度的には200ppmですと目に染みたりするので、安全な100ppmに設定して超音波噴霧器で噴霧しました。

状況は変わりませんでした。
電解方式と同じく、ベト病まで誘発してしまいました。

次に動噴で散布すると菌糸にアタックするも胞子にはイマイチ…
電解方式よりもマシかなあ?程度でした。

設備投資して私なりにかなり頑張ってやってみましたが、バラにもトマトにも効果は出せません…
私が検証した結果はこういう感じでした。

安全を考慮すれば薬液のパワーが弱すぎる

次亜塩素酸水を安全に噴霧するには200ppm以下とすべきです。理想は100ppm以下です。
400ppm以上だと人体に安全な次亜塩素酸水ですが目に染みたり、肺を傷めるリスクが起こる可能性があります。

では、100ppmで植物栽培の病原菌である糸状菌を壊せるかというと…
壊せます。ですが、植物栽培現場において充分に壊せるかというと…まったく足りません。
次亜塩素酸水100ppmでは、全くのパワー不足だと思います。

超音波噴霧器は効果を出せない

超音波噴霧器で曝露時間を長くして効果を上げることをやりましたが、まったく効果は得られません。
動力噴霧器でビチャビチャにしても効果が得られないのに、ミスト程度ではどうにもならないということです。

空中に浮遊する胞子には空中で次亜塩素酸水のミストがぶつかって壊すというのはあまり起こらず…

次亜塩素酸水の粒子が胞子に付着して重さで落ちるほうが圧倒的に多いことが後で判明しました。

それと、糸状菌の胞子の数が無数に存在するので、ミストでは胞子は壊せていないと言えるほどでした。

次亜塩素酸水は残効性を持たないので栽培では効果を示せない

農薬は残効性を持ちます。
殺菌剤を散布すれば、その効果は状況にもよりますが殺菌効果は1週間以上は持続します。

一方、次亜塩素酸水は残効性を一切持ちません。菌を瞬殺しますがその効果は一瞬です。
次亜塩素酸水で糸状菌を壊せたとしても、すぐに胞子が飛んできて発芽し感染します。

これを防ぐために超音波噴霧器で長時間空中に漂わすことをしますが、これだと薬液につけ込んでいるような感じで弊害のほうが大きくなります

挫折しました

執念でやっていましたが、私ではどうすることもできませんでした。
さて、いくらつぎ込んだのか…

これを散財で終わらせたのか、それとも次に繋がる投資となれたのか…